SEOという言葉にどう向き合うか

今週はSEO(エスイーオー:検索エンジン対策の意)について考えさせられることが続いたので、これについて述べてみたいと思います。

正直なところ、WEB制作会社、特に制作技術やデザインをウリにしてきた会社からすると、SEOという考え方はあまり馴染みません。というのもSEOとは、検索エンジンからどうやって見込顧客を呼び込むかという集客方法のことだからです。WEB制作技術はWEB技術仕様の中でユーザーにどのような体験を提供できるかを考えていましたし、WEBデザインは同じくWEB技術仕様の限界の中でユーザーにどのような感動を与えられるかを考えていました。「集客しなければ、そもそも体験も感動も与えられないだろう」と言われればその通りなのですが、検索エンジンという非人間的存在だけを向いてWEBサイトを作っても、人間にはフレンドリーでないWEBサイトができてしまう。SEOという言葉を前にして、このバランスをどう取るのかがWEB制作者が悩んできたところで、弊社は弊社なりの考え方でSEOとは向き合ってきました。

SEOというと、インターネット黎明期の言説がいまだに残っているようで、「タイトルにキーワードを並べればいいんでしょ?」「キーワードをたくさん入れればいいんでしょ?」と未だに言われます。それらの効果については、私も検証していないので、「すいません、わかりません」とお答えした上で、以下のGoogleが発表しているSEOガイドラインをご覧いただくようにしています。

Googleガイドライン
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/seo-starter-guide?hl=ja

SEOに過剰な期待を持っている事業者様が時々居られます。SEOでビッグキーワードで対策さえすれば、多くの見込顧客が集客できるのではないかと。ビジネス実態に身の丈合わないビッグキーワードで対策すること自体はできるかもしれませんが、そもそもビッグキーワードから流入してくるユーザーのニーズとマッチしませんので、ミスマッチが増幅するばかりで、最終的には顧客の不満を買い、事業価値は低下します。そもそもWEBサイト制作段階で、ビッグキーワードのユーザーニーズを満たすだけの商品力や事業資金を備えていないため、コンテンツが整わず、検索エンジンにも評価されないという結果になりがちです。

私が考えるSEOは、ビジネス実態に身の丈の合ったマーケットを特定し、そのマーケットを象徴するキーワードを選定し、そのキーワードを採用したWEBサイトにすることで、見込顧客と企業の良いマッチングを促すことです。ただし実際の制作現場では、ここに時間を割くのは難しいです。というのも自分のビジネスが参加しているマーケットがはっきりわかっていればよいですが、顧客も欲求やニーズの赴くままに行動しているだけで、マーケットを意識して買い物しているわけではありません。キーワードも決まっているようでいて、時代とともに変化します。俯瞰的にマーケットを特定し、キーワードを選定するというのは、少なくとも弊社には難しいなと感じています。

では実際の制作現場ではどうするかと言えば、事業の言語化と情報公開を愚直に推進し、情報資産を積み上げていくことで、商品やサービスがお客様に届くことを願っています。ぬるいと言われるかもしれませんが、少なくとも弊社がお付き合いしている中小企業は言語化できていない情報が山のようにあります。業歴何十年という会社も多いわけですが、そういう会社はお客様のニーズを何十年にもわたって満たしてきたわけです。それであれば、いつ誰に対して何をどのように … と、事業内容を整理し、丁寧に言語化していくことで、そこに金脈となるキーワードも含まれてくるのではないかと期待しています。これが私の考えるSEOとの向き合い方です。

SEOは検索エンジンというプログラムを相手にしていますので、何らかの方法でハックできるかもしれません。そしてそれをウリにしているSEO業者さんも居られるかもしれません。もしあれば非常に価値のあるサービスだと思いますが、リソースの限られた中小企業が刻一刻と仕様の変わる検索エンジンを追い掛け回すのは、体力的に厳しいと思います。中小企業は、一時的な検索エンジン順位を競う近視眼的なSEOから距離を置き、自社の言語化と情報公開に努める中長期目線に立ったSEOにリソースを割いてほしいと思っています。

そのような話をすると、「集客力がないのならHPは不要、SNSで十分」という声もいただきます。それに対しては、「集客力だけで言えばSNSで良いと思いますよ、HPは集客能力がオマケで付いているブランディングツールです」と答えています。オマケというと語弊があるかもしれませんが、検索エンジン自体が広告事業で利益を上げるビジネスモデルですから、自然検索を優遇するとは考えられません。活かさず殺さずといった感じでしょう。そう考えると、検索エンジンから自然検索による集客はオマケ程度、と思った方が適切だと思います。

以上がSEOに対する私の基本的な考え方ですが、集客が重要であることも重々認識しています。人が居る場所に出かけて行ってどれだけ声掛けするかが大事ですので、集客場所や方法についても、弊社からワンストップでサービス提供できるよう、サービス拡充に努めているところです。集客についてはまだまだ未熟ですが、近々ご案内できればと思っています。