自分探しもいいけれど。
とにかく暑いですね。肌が常にペタペタして、なんだか両生類にでもなったような気分です。あと何回この夏が乗り切れるのだろうと悲観的な自分は考えてしまいます。ま、人生が尽きるその時までは、精一杯頑張ろうと思いますが。
そういえば旅先で一風変わった人に出会いました。六十をちょっと回ったくらいの日本人男性で、人生の大半を海外で過ごしていて、日本をあまりしらないので、全国を旅して過ごしているのだそうです。海外で活躍されて優雅にリタイア後の人生を満喫しておられるのかなと思いきや、今は四国の過疎地域で築数十年の古民家で暮らしていて、全国をヒッチハイクで回っているそうです。とにかくお金を使わないのがポリシーだとか。
六十になって、ケチケチは個人的に感心しません。本当にお金がないなら仕方がないですが、お金を使うことも社会貢献です。彼の極度なケチケチぶりを聞いて、だんだんと悲しくなってきましたが、話を一向にやめてくれないので、黙って聞いていました。
大学に進学した話、演劇をやっていた話、海外を回って複数の語学を習得した話、海外の闇を見てきた話、日本は素晴らしいという話。エネルギッシュで個性的な人生を歩んで来られたようです。自分も場合によってはこういう人生を歩んでいたかもしれないなと思ったりもしましたが、彼と私で決定的に違うなと思ったのは、社会責任についての考え方でした。
関東地方の実家に親がご健在とのことで、相当な高齢だと思いますが、弟にまかせっきりで実家にもたまにしか帰らない。今住んでいる四国の過疎地域は、行政から割り当てられた古民家だそうで、どうもそれに不満で、旅を繰り返しているようでした。知力・体力も有り余っているのだから、親に付き添ってあげるとか、もっと自分にできる社会貢献に取り組めばいいのに。
私たちの若い頃には「自分探し」というキーワードが流行りました。今は死語かもしれないですね。自分に何ができるのだろう、とあれこれ背伸びしたものです。私も海外に強い憧れがあり、実際に海外を放浪したりもしました。ま、観光の延長レベルですけどね。
話していた彼は、さらにその先へ行って、海外で人生の大半を放浪してきた人のようでした。よくぞ今まで生きてこられたなと思います。とても頑健な体と高い知力と陽気な人柄のお陰だろうと思います。ただ社会とコミットしていない人にありがちなのですが、マスコミやネットの情報だけやたらと詳しくて、大学教授のように流暢に喋ってくれるのですが、具体性に乏しくて、中身がとにかく薄くてつまらないのです。どっかで聞いたような陰謀論やCIAというキーワードが出てきて、いよいよ付き合ってはいけない人だと思いました。
いわゆるネット強者を地で行く人でしたね。今、彼は自分探しで、各地の神社仏閣を旅して回っています。神社仏閣周りもいいですが、まだまだ彼にはやれることがある。地元に帰って、親や兄弟のためにできることをコツコツやれば、周りに喜ばれるし、自信にもつながると思うのだけど。
いろんな人生があるけど、人生の折り返しポイントを過ぎた彼には、ぜひ人の幸せのために何かを始めてもらいたいと強く思いました。