経営理念はお客様への公約
私の好みがニッチ過ぎるのか、どうにもテレビを見る気が起こりません。ですが私が楽しみにしている番組があります。番組と言ってもYouTubeの番組で、ReHacQと言います。かなり有名なチャンネルになっているのでご存じの方も居られることでしょう。
ちょっとした車移動の際にこのReHacQを聞くのが大好きで、たまたま聞いていた中に大阪府知事の吉村さんと、東京都知事選で惜しくも落選した石丸さんの対談動画があって、とてもワクワクさせる内容だったのですが、それを聞いていて個人的に「公約」という言葉にピーンと来ました。
政治家同士の対談ですから「公約」という言葉が飛び交うのは当然なのですが、「公約」という言葉は政治家が有権者、つまり国民に訴えかける約束です。吉村さんは国政政党の党首らしく「公約を実現するために」と何度も繰り返し仰っていたのですが、「公約」って我々のような中小企業経営者からすると「経営理念」みたいなものやんと。そう思ったわけですね。
弊社もそうですが、企業は経営者の個人的事情、たいていは食っていかないといけないからやむを得ず作った、というケースが多いと思います。そういう個人的事情から誕生したのが企業ですから、「経営理念」と言われても誰に対して何を伝えてよいのやら、よくわからないです。
とはいえ、そんな個人的事情はお客様にとって知ったこっちゃありません。なぜおまえを応援しないといけないんや!となりますよね。ですので、己の事情を原動力にいくら周りに訴えても、どこかで限界にぶつかると思います。現に弊社はその壁にぶつかって越えられないで苦しんでいます。
「経営理念を創ると良い」と言われたりしますが、そもそも「経営理念」を作って何か良いことがあるのだろうか、何か意味があるのか、ただの言葉遊びじゃない?とも思いましたが、他に手だてがあるわけではなく、半信半疑で経営理念を創ろうとしているのが今の自分だったりします。
ReHacQを聞いていて、ふと思いつきました。このよくわからない「経営理念」を「公約」と考えればどうだろう。政治家ではありませんから、街頭演説をするわけではありませんが、お客様に商品やサービスを提供してお金をいただくのは、政治とよく似ています。政治は票を集めるわけですが、事業はお金を集める、実は似ている気がします。
「経営理念」を「公約」と考えると、訴えかける対象もピシッと決まりますし、何を訴えるべきかも何となく見えてきます。私たちにとって有権者はビジネスのお客様ですから、お客様が望んでいること、私たちが叶えたいことを文章化すればよいわけです。
人を幸せにするのが政治家の役目だと思っていましたが、ビジネスで人を幸せにするのが経営者の役目ではないかと思いました。そう考えると「経営理念」はすなわち企業の存在意義を成文化したもの、と言い換えても良いし、本当にお客様のことを考えているのであれば、書こうという意欲さえあれば、「経営理念」は自ずと書けるはずのものだと思います。
自分にその「経営理念」が書けるか、、自分の真価が試されると思うと身震いします。