文化が前輪、経済は後輪

最近は中小企業家同友会の例会にせっせと参加しています。もともとは「周りの経営者はどういうふうに経営しているんだろ?」という興味から入ったのですが、話を聞いているとホントいろんな人がいて、普通に聞いているだけでもかなりのインプットになります。そんなわけで会費のもとを取るべく、最近は頑張って参加しています。(いつも愛想がなくてすいません)

今回は北近江支部特別例会ということで、プロシードアリーナ彦根で、島根県の石見銀山の麓でいろいろな事業を手掛けている松場さんという方がゲストスピーカーでした。後で知ったのですが、テレビにもちょくちょく登場する有名人だそうです。人里離れた山村で活動しておられるとのことで、ビジネスに遠い話かな~と、最初は参加を見送ろうと思ったのですが、伝統工芸を内輪で盛り上げようというプロジェクトに以前関わったことがあり、WEB制作担当としてトライしたのですが、納得の行く成果が出せずに、プロジェクトが解散になった苦い思い出がありまして。このゲストの方はどんなアプローチをしたのだろうと聞いてみたくなり、参加しました。

聞いてみて思ったのは、「アプローチ云々ではなく、そもそも考え方が全然違う」ということです。前回参加させてもらったサカエヤさんはもう少しマーケティング発想でご自分の道を選ばれた印象でしたが、今回の松場さんは考え方がぶっ飛びすぎていて、ちょっと質問するのも野暮なレベルでした。ただ松場さんの “感性に素直な生き方“ を受け入れるしかないという感じでしたね。いつもお金を気にしている私からすると、すごいカルチャーショックでした。あれはファンになる気持ちがわかりますね。共感力に乏しい私ですら、阿部家に行きたくなりましたもん。

私の結論としては、これだけの覚悟、情報発信力、デザイン力、マーケティング力、行動力が備わっていたから起こった奇跡であって、このケースをいくら学習しても真似るのは絶対に不可能だなということです。やっぱりビジネス脳で山村復興は難しすぎますね。

すごく印象に残った言葉は「文化が前輪、経済は後輪」だったかな。自転車に例えて説明されていたのですが、けっしてお金が先じゃない。最後の質疑応答で、お金に関する質問をされていた方がいて、ビジネス人からすると至極真っ当な疑問だと思うのですが、きっぱりと「お金はもちろん大事だけど、まずは文化。人を笑顔にする、幸せにするのがビジネスでしょ」と言われていました。(たぶんそんな返答だった気がします)

お金をいくら勉強しても、お金を節約する方法は見つかっても、お金を生み出す方法は見つかりません。財務諸表から無駄を省いていっても、何も価値を産まないなと行き詰まりを感じていたので、「文化が前輪、経済は後輪」というのは目から鱗でした。

「いい仕事をすれば、結果は後から付いてくる」と思ってやってきましたが、人が増えてくると、みんなの分までお金のことを考えるようになって、最近は頭の中がお金のことでいっぱいでした。私はお金のことから逃れられないけど、みんながお客さんの目を見て仕事をしてくれて、お客さんが喜んでくれれば、あとは覚悟を決めて結果を受け入れるしかないかな。そんなことをつらつらと考えました。

個人的には超当たりな講演会でした。本当に行ってよかった。

石見銀山 群言堂
https://www.gungendo.co.jp/