彦根商工会議所のマイナンバー講習会に行ってきました
先日、彦根商工会議所でマイナンバー講習会があったのですが、マイナンバーについて全然勉強できていなかったので、ちょうどいい機会だと思い、行ってみました。
たぶんこういう話なんだろうなと何となく理解していたことがすっきり整理されて、講習会としては大満足でした。自分の知っている先生も登壇されていて、「登壇されても、やっぱりマイペースに喋る方なんだなぁ」とか個人的な感慨も多少ありました。
国民全てに一意の番号が割り振られるというと、以前流行った国民総背番号制なんて言葉を思い出して、「国民を番号で管理するなんて何事だ」とか「プライバシーの侵害だ」とか、感情的になる人もいまだに多いのでしょうか?なかなか世論をウォッチする余裕がないので、わからないのですが。
システム事業に関与している私からすれば、「よく今まで一意の番号無しで管理してきたな~」と呆れますね。実は一意の番号が今までなかったわけでなく、パスポートの旅券番号とか、健康保険証の保険者番号とか、運転免許証番号とか、各省庁が個人を特定するために割り振った一意の番号は以前からあったわけで、それらが共通番号になっていなかったというだけの話です。共通番号がなければ、各省庁の情報どうしを付き合わせることが難しいので、非常に非効率です。
例えば私も運転免許証と健康保険証は財布に入れて常に持ち歩いていますが、両方持ち歩かないといけないのは、それらを持っていないと各省庁が持っているデータベースで個人を特定できないからです。これが共通番号になれば、共通番号さえわかれば個人が特定できるわけですから、共通番号を記載したカード1枚で済みます。
「共通番号ができれば個人情報が筒抜けになる」という言説もあるようですが、別に共通番号ができたから個人情報が筒抜けになるわけではありません。今までだって個人情報は各省庁で収集されており、彼らがその気になれば各省庁が保有する個人情報どうしを付き合わせて、より総合的な個人情報を得ることだって可能だからです。それが今まで共通番号がなかったので一瞬でできなかったというだけの話です。
どんなセキュリティが強固なシステムを作ったとしても、結局のところ運用するのは人ですので、人が悪意を持ってこのシステムを利用すれば、個人情報は簡単に漏洩するだろうと思います。共通番号ができることで、漏洩する個人情報の範囲も確実に広がりますので、心配を始めると切りがないですが、だからといって共通番号を止めるべきかと言われれば、そうは思いません。
共通番号を持たないことで、各省庁で莫大なコストが掛かり続けていることは容易に想像できます。私たちも共通番号がないことで無駄なコストをずいぶん掛けてきたと思います。マイナンバーと呼ばれる共通番号を導入することで、産みの苦しみはあるとは思いますが、行政コストを削減し、私たちの暮らしの無駄を省き、その余剰を他に充てることが可能になります。
個人情報の漏洩に関しては、今までだってありましたし、これからも起こります。マイナンバーが導入されたからといって、根本的に何かが変わるわけではありません。マイナンバーは個人情報を引き出すための鍵であり、個人情報はあくまで実体を現す記号に過ぎないわけで、自分の命や家族であるとかお金とか財産とか、自分が所有する何らかの実体が失われるわけではありません。
「人の口に戸は立てられぬ」という諺にもあるとおり、情報は漏洩し伝播していく運命なのですから、情報が漏洩したとしても自分の命や家族やお金や財産は守るという、強い決意と備えをする方が賢明だろうと思います。
・・・そんなことを思った講習会でした。事業者の立場からすれば、マイナンバー管理者としてより厳重な個人情報管理が求められるなと、気が引き締まりました。