労働集約型サービス業の強みの話

先日、サービス業の事業者様のご相談を受けました。弊社は製造業や建設業のお客様が多いので、サービス業は久々です。ちょっとワクワクしながら聞いていました。

ヒアリングの常なのですが、「自社サービスの強みは何だと思われますか?」と聞いてみました。すると「他社に比べると安いことと、融通が利くこと」との回答。なんか懐かしくなりました。弊社も昔、そんなことを言っていたなぁと。

価格が安いというのは、もちろん顧客にとって嬉しいことだと思います。とはいえ、労働集約型のサービス業で価格が安いということは、人件費が安いということでもあります。人件費、つまり給料が安い会社には、売り手市場の今は、人も集まりませんし、今居る人も去っていってしまいます。そうすると事業を継続することはできなくなります。今居る顧客にこれからもサービスを提供していくのであれば、価格が安いという顧客評価を甘受するのではなく、「サービスが素晴らしい、価格は納得」と言ってもらえる状態を目指すべきなんだろうと思います。

融通が利くというのも、もちろん顧客にとって嬉しいことだと思います。とはいえ、融通が利くということは、標準サービスが定まっておらず、各人の裁量に委ねられているということでもあります。そうすると顧客の過度の要求に振り回されてしまって、担当者が疲弊してしまうかもしれません。また担当者ごとにサービス内容がバラバラになり、何かの事情で担当者が変わったときに顧客の信頼を失うことも考えられます。あるいは新人さんがサービスに参加するときに、何をやればよいのかがわからないという問題も発生します。顧客の要望に臨機応変に対応することは素晴らしいですが、サービスの標準仕様をしっかり決めたうえで融通を利かせる方が、顧客と良い関係が築けるのではないかと思います。

いつも考えていることでもあるので、他の事業者さんの考えていることを聞くのは楽しいですね。